オントロジーを用いた情報システムの構築に関する研究
乗松 真二

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が叫ばれ、元のデータにデジタル技術を駆使した新たな価値を付加して利用することが進められています。これには人工知能(AI)技術が有効です。現在はディープラーニングや生成系AIなどAI技術の中でも機械学習に基づく手法が注目を集めていますが、これらの手法には「決定の根拠が明確でない」というブラックボックス問題やハルシネーション問題が存在します。

法律などの専門的知識に基づいた重要な決定を行う場合には、与えられた事実の論理的な整合性の確認とその決定を行った根拠の妥当性を示すことが重要となりますが、現状ではこれらの作業は主にその分野の専門家に委ねられています。しかしネット上での取引量や複雑さが増すにつれて正確性や迅速性の確保が困難になるため、専門家への知的支援を行う情報システムが望まれます。

一方、AI技術の研究成果は上記の機械学習以外にも数多く存在しています。特にセマンティックWebに関する研究は、「知識の宝庫」とも言われるWeb上のリソース(各種ホームページ等)に、その意味や相互関係を定義するオントロジー(概念体系)やルールをメタデータとして与え、このメタデータを機械可読な情報として記述することで高度な検索や推論等を可能にするものです。このような技術はブラックボックス問題やハルシネーション問題の解決にも役立つものと期待されます。

そこで、専門的知識に基づき重要な判断を行う課題に対して、オントロジーを用いた情報システムの構築に関する研究を行います。

 [ キーワード ]   オントロジー    情報システム